大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和25(オ)115 判決

主 文

原判決中金員支払の請求に関する部分を破棄し、之を名古屋高等裁判所

に差戻す。

その余の上告を棄却する。

理 由

上告代理人河辺久雄の上告理由について。

原判決は、被上告人は上告人から電極屑上等品一〇噸を一噸金一六〇〇〇円の割

で引渡を受ける旨の売買契約を上告人と結び其の代金一六〇〇〇〇円を支払つた後

現品の引渡を受けたが、其の数量、品質が約旨に反して居たので更に上告人と「前

渡金残額を金八五〇〇〇円とし、之に対して当初の契約通りの電極屑の相当量を被

上告人に引渡すべく、若し期日迄に右引渡ができない場合は同金額を被上告人に支

払う」旨の協定を結んだとの事実を認定した上、上告人にこの合意に基ずく金員支

払の義務ありとし、本訴請求中この部分をも認容すべき旨判示していることは、論

旨の指摘するとおりである。しかしながら、記録によれば被上告人が本訴に於て金

員の支払を求めるのは本来の給付である前記物件の引渡が不能となつた場合におけ

る該物件の時価に相当する金一二七五〇〇円の支払を填補賠償として訴求する趣旨

と認められるのであつて、判示の如き当事者間に成立した協定が請求原因として主

張された形跡は存在しないのである。果して然りとすれば、原判決は右金員の支払

を求める請求に関する限り、当事者の主張しない事項を帰せしめた違法があるもの

と謂わなければならない。すると此の点に関する論旨は理由があり原判決中右部分

は破棄を免れない。

上告人代表者Dの上告理由について。

記録によれば、原審は其の第一回口頭弁論期日(昭和二四年一一月二四日午前一

〇時)を上告人の書面による変更申請によつて変更し、次で開かれた第二回口頭弁

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論期日(昭和二五年一月一二日午前一〇時)には被上告人が上告人の前同様申請に

同意したので其の弁論を延期し、更に同日指定された所論の口頭弁論期日には同期

日に出頭した被上告人が上告人の前同様申請に不同意なので該申請を却下したもの

であること及び原審は所論の期日に審理を開始し即日弁論を終結したものであるが、

本件については既に第一審に於て争点が明かにされ証拠調も相当詳細に為されて居

たことが認められ、其の他に上告人が他人に委任したのでは目的を達し難い事情に

あり、或は当時上告人に代理人を選任し得ない特段の事情等が在つたと認めるに足

る事跡が記録に顕われて居ないから、仮令所論の期日に上告人代表者Dが所論の通

り病気のため原審法廷に出頭し難い状況に在つたとしても、所論原審の措置を違法

なものとはいい得ない。右点に関する論旨は理由がない。(なお、証拠の取捨判断

は専ら原審の裁量に属するところであり、単に之を論難する如き論旨は上告適法の

理由と為し難い。)

よつて、本件上告中金員支払の請求に関する部分につき民訴四〇七条を、その余

の部分につき同法三九六条、三八四条を各適用し、全裁判官一致の意見により主文

のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 岩 松 三 郎

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